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服用薬剤調整支援料2(1000点)は、結局どんな薬剤師が算定できるのか

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1分で読めるAI自動要約

2026年度調剤報酬改定で服用薬剤調整支援料2が1,000点に大幅引き上げられた。この点数を算定するには、老年薬学の研修修了、または老年薬学認定薬剤師資格が必要となる。

研修受講にはJPALS認定薬剤師(旧CLレベル5)からアドバンスト(旧CLレベル6)への昇格が必須であり、さらに実務経験5年以上が求められる。JPALS制度は2026年4月に改正され、CLレベル呼称は2027年4月に廃止される予定だ。

算定開始は2027年6月1日であり、担い手育成のための猶予期間が設けられている。これは、高齢者のポリファーマシー対策として、専門知識を持つ薬剤師による包括的な薬剤レビュー業務への本格的な評価である。

「10倍」に二度見した

2026年度の調剤報酬改定で、服用薬剤調整支援料2が100点から1,000点。
なんと10倍に引き上げられた、と知ったとき、正直「桁を見間違えたかな」と二度見しました。単独の調剤報酬としては最高クラスの点数です。

そこで自然に湧いてきたのが、
じゃあ、うちの薬局で算定できるんだろうか
という疑問でした。

要件を追いかけはじめたのですが、これが思った以上に深い。
研修が要る、と思ったらその研修に受講資格があり、さらにその資格にもまた階段があって……と、調べるほど入れ子になっていく。

おまけに、その階段の途中にある資格の名前は近々なくなるらしく、裏取りになる文書を探すのにもけっこう手間取りました。

というわけで、自分の頭を整理するつもりで、わかった範囲をまとめてみます。

数値や日付はできるだけ一次情報にあたりましたが、誤りや、もっと新しい情報があればぜひ教えてください。


まず、これは何に対する点数なのか

そもそもの確認から。

服用薬剤調整支援料2は、複数の医療機関から内服薬を6種類以上処方されている患者に対して、かかりつけ薬剤師が服用中の薬剤を継続的・一元的に把握し、重複投薬等を確認したうえで処方の適正化を支援したことを評価する点数、とされています。

調べて驚いたのは、点数より「中身」の変わりよう

額面が10倍になったことばかりに目が行きますが、要件を読み比べてみて、むしろ評価される業務の中身がまるごと変わっていることに驚きました。

改定前(令和6年度まで)

  • 点数:100点

  • 主眼:重複投薬等の解消提案

  • 担い手:薬剤師(特段の研修要件なし)

改定後(令和8年度)

  • 点数:1,000点

  • 主眼:薬物療法の適正化支援(包括的な薬剤レビュー)

  • 担い手:老年薬学の研修を修了したかかりつけ薬剤師など

改定後に求められているのは、単なる「薬を減らす提案」ではなさそうでした。

患者・家族からの主観的情報の聴取
検査値などの客観的情報の収集
生活状況や意向の把握、
各薬剤の治療効果と有害事象の評価
薬剤関連問題の特定・整理、
調整後の観察計画の立案、
これらをすべて行う本格的な「薬剤レビュー」。

この水準を一人でやり切れる薬剤師を想定している、ということなのでしょう。

算定のルールで押さえておきたい点

  • 算定回数:同一の患者に対して6月に1回限り、かかりつけ薬剤師1人につき月4回まで

  • 適用開始令和9年(2027年)6月1日から。点数表本体の施行(令和8年6月1日)より、1年も遅れて始まります

「なんで適用が1年遅いんだろう?」と思って調べた

ここも引っかかったポイントでした。
理由をたどると、後で出てくる研修の第1回開催が2026年8月で、修了者がそろうまで時間がかかるからのようです。

算定の担い手を育てる猶予期間として、適用開始を2027年6月1日まで後ろ倒しにしているようです。制度が「先に人を養成する」ことを前提に組まれている、という見え方です。


要件を上から分解して、全体像を俯瞰する

「で、結局どんな薬剤師なら算定できるの?」を確かめるために、まずは1,000点から要件を上から順に分解してみました。

1,000点を算定するには、その担い手が老年薬学 服薬総合評価研修会を修了した、または日本老年薬学会の「老年薬学認定薬剤師」であるかかりつけ薬剤師である必要があります。

認定薬剤師になる道はそれ自体がさらに狭く、現実的に目指しやすいのは研修の修了ルートのほう。なのでここからは、研修ルートを軸に辿ります。

その研修を受けるには受講資格があり、そこにはJPALSという仕組みの上位の認定が要る。

さらにその上位認定を得るには、まずJPALS認定薬剤師になり、そのうえで試験に合格しなければならない。

言葉だけだと追いにくいので、上の段から順に、何が下にぶら下がっているかを並べます。

  • 服用薬剤調整支援料2(1,000点)を算定する

  • そのためには、老年薬学 服薬総合評価研修会の修了(または老年薬学認定薬剤師)が要る

  • その研修を受けるには、実務5年以上と、JPALSの上位認定などの受講資格が要る

  • その上位認定を得るには、達成度確認試験に合格して通称CLレベル6へ昇格する必要がある

  • そしてその試験を受けるには、まずJPALS認定薬剤師になる

こうして一番下まで降りてみると、結局何をするべきなのかがはっきりしました。
「JPALS認定薬剤師になる」です。

というわけで、何をしていけばいいのか順に整理しました。


実際に対峙する扉

実際にこの点数を目指す薬剤師が、キャリアの中で先に手をつけるための手順を、第1から並べます。

第1の扉:まず「JPALS認定薬剤師」になる

すべての足場になるのが、この「JPALS認定薬剤師」の取得です。

JPALS(ジェイパルス)は日本薬剤師会が運営する生涯学習プログラムで、取得には次のステップを踏むようでした。

  • JPALSのシステム利用登録から1年以上が経過していること

  • 基準日から遡って3年以内に、日々の業務を振り返る実践記録を18本以上提出し、プレチェックを完了すること

  • 毎年3月に実施されるWebテストを受験し、合格すること

日々の実践を記録としてコツコツ積み上げ、テストで知識を確認する。
最初の足場とはいえ、思いつきで取れるものではなさそうです。

これで取得できるのが「JPALS認定薬剤師」(旧称:CLレベル5)でした。

第2の扉:「薬剤師生涯学習達成度確認試験」に合格して「アドバンスト」へ昇格する

JPALS認定薬剤師になったら、次はその一段上です。

研修の受講資格にあるのは、「JPALS認定薬剤師」のさらに上「JPALS認定薬剤師(アドバンスト)」(旧称:CLレベル6)で、ここへ昇格する鍵が薬剤師生涯学習達成度確認試験でした。

  • 位置づけ:JPALS認定薬剤師を取得した後の「昇格試験」。これに合格して初めてアドバンストになれる

  • 受験資格:「JPALS認定薬剤師」であり、かつ薬剤師免許取得後5年以上経過していること

  • 内容・形式:日本医療薬学会の認定薬剤師試験に準ずる内容の筆記試験年1回の実施

読んでいてお気づきかもですが、一番もやもやするのが「名前」の話です。

JPALSは2026年4月1日に制度が改正され、「CLレベル」という呼称は2027年4月1日に廃止される予定です。

要件に書かれた「CLレベル6」という名前自体が、もうすぐ消える。
新旧を並べると、こう対応します。

  • CLレベル5 → 「JPALS認定薬剤師」

  • CLレベル6 → 「JPALS認定薬剤師(アドバンスト)」

なお現在のCLレベル5・6の認定者は、日本薬剤師会が「認定更新は現行制度から変更なし」としていたので、すでに持っている人が不利になるわけではないようでした。

第3の扉:「老年薬学 服薬総合評価研修会」を受講し、修了する

ここまで来て、ようやく老年薬学の研修にたどり着きます。

第2の扉で「アドバンスト(CLレベル6)」を取り、かつ実務経験5年以上を満たしていれば、日本老年薬学会の「老年薬学 服薬総合評価研修会」を受講できます。

これを修了すれば、晴れて服用薬剤調整支援料2を算定できるかかりつけ薬剤師、というわけです。

受講資格を整理すると、こうでした(実務5年に加えて、次のいずれかの認定が必要)。

  • JPALSルート:第1・第2の扉で見た「CLレベル6(=アドバンスト)」(2026年3月1日現在、JPALSではG25のこれのみ)

  • 日本医療薬学会ルート:地域薬学ケア専門薬剤師 または 薬物療法専門薬剤師(JPALSルートの代わりにこちらでも可)

研修そのものについては、第1回が2026年8月9日(日)に東京・AP新橋で開催(定員150名)、募集開始は2026年6月予定で、以後は年4回程度の開催予定とのこと(受講料:会員20,000円・非会員25,000円)。

もう一つの道:老年薬学認定薬剤師

厳密には、この研修を修了しなくても、日本老年薬学会の「老年薬学認定薬剤師」であれば算定要件を満たせる、とされています。

ただ、認定薬剤師になる道はそれ自体のハードルが高く(こちらの細かい要件は私もまだ確認しきれていません)、多くの薬剤師にとっては研修修了のほうが現実的な近道になりそうです。

なので本記事では研修ルートを主役に据えました。
「研修が必須」ではなく「研修が現実的」という距離感で読んでもらえれば、と思います。


日付がこんがらがったので、時系列に並べてみた

調べているうちに「2026年の話」「2027年の話」が頭の中で混ざってきたので、自分用に時間軸へ並べ直しました。

同じように混乱した人がいたら、参考にしてください。

  • 2026年4月1日:JPALS認定薬剤師制度の改正が施行

  • 2026年6月1日:令和8年度調剤報酬の点数表が施行(服用薬剤調整支援料2の本体改定)

  • 2026年8月9日:「老年薬学 服薬総合評価研修会」第1回開催

  • 2027年4月1日:JPALSのCLレベル表示を廃止/「CLレベル6」→「JPALS認定薬剤師(アドバンスト)」へ名称変更

  • 2027年6月1日:服用薬剤調整支援料2(1,000点)の算定が実際に可能に


調べ終えて思ったこと

ここまで追いかけてみて、服用薬剤調整支援料2の1,000点は、単なる点数アップではないのだろうな、と感じました。

複数医療機関にまたがる多剤併用(ポリファーマシー)を、高齢者薬物療法の専門知識を持つ薬剤師が体系立てて評価し直す。その業務に、国が初めて本格的な値段をつけた。扉が何段も積み上がっているのは、その裏返しなのだと思います。

JPALS認定薬剤師になり、達成度確認試験でアドバンストへ昇格し、実務5年を満たして老年薬学の研修を修了する。
調べる前は「1000点ってやたら高いな」くらいに思っていましたが、いまは「ここまで積んだ人への評価なら、むしろ妥当かもしれない」と見方が変わりました。

とはいえ、私もまだ完璧に理解できたとは言えません。

とくに「老年薬学認定薬剤師」ルートの細かい要件や、施設基準まわりは、もう少し原文を読み込む必要がありそうです。

誤りや、すでに更新された情報に気づいた方がいたら、ぜひ教えてください。


参考・出典(一次情報を中心に)

※ この記事は個人の見解であり、特定の医療行為を推奨するものではありません。 実際の臨床判断は、個々の患者さんの状況に応じて行ってください。

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Nishimoto_Dev第104回

薬剤師や薬学生に役立つプロダクトを作っている現職薬剤師。webサイト、webアプリ、スマホアプリを開発しています。現場で学んだことや共有したいことを投稿します。ヤクわの開発者です。

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「現場の常識」が、どこにも書いてない。

教科書にない経験則。先輩からの口伝え。Xで流れて消えていく知見。
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